発足経緯・沿革

経緯・沿革

<滋賀県にAKINDO委員会が設置>

1991年(平成3年)、滋賀県の提唱で、近江商人の経営理念を新しいまちづくりや産業振興に活用することを目標として「世界あきんどフォーラム」が開催されました。そしてこの運動を推進するために滋賀県AKINDO委員会が設立され、顕彰・交流・人材育成の事業活動を展開してきました。

そして10年間の活動の成果として開催した「国際AKINDO会議2001」では、21世紀企業のあり方は「三方よし」の理念であることが再確認されました。しかし、2002年バブル経済が破綻した頃、AKINDO委員会は発展的解散されました。

<AKINDO委員会の志を受けて>

その後AKINDO委員会の事業の一部は滋賀県産業支援プラザに引き継がれました。一方、AKINDO委員会でボランティアとして事業推進に参加してきた有志が、現代社会の中でより「三方よし」の精神を普及しようと「NPO法人三方よし研究所」を設立しました。

<見直される「世間よし」>

AKINDO委員会が解散後、企業の社会的責任が問われるようになり、企業も善良な一市民であることを自覚なしではすまない時代となりました。

現在では、自らの利益優先のみに走る企業は社会的に非難され、法令順守はもちろん、企業が社会の一員として何をなすべきかが重要な問題となり、近江商人の「世間よし」の考え方が、あらためて見直されています。

<近江商人を生んだ滋賀の精神土壌>

滋賀県の経済成長率は、他県に比べて高く、県民所得も高額です。しかも社会貢献事業を展開する企業は量的にも質的にも有数です。さらに琵琶湖の自然環境保全に積極的に取り組む企業や団体の活躍ぶりには目を見張るものがあります。

背景には、比叡山の開祖最澄が唱えた「忘己利他」や「一隅を照らす」という言葉が、近江商人の精神文化を育んできたといえるでしょう。こうした風土の中で、グローバル化をめざしながらも、この地で商う、モノを作ることの意義を深く考えながら善良な企業市民をめざすことで、新しい時代の新近江商人がより多く輩出することを願っています。

近江商人顕彰事業関連年表

AKINDO委員会・三方よし研究所 その他の関連
昭和47年 びわこ放送で近江商人が取り上げられ、徳永眞一郎氏の紹介で竹本氏が江頭氏に出会い「てんびんの詩」の構想が生まれる
昭和54年 小林吟右衛門家「近江商人郷土館」として公開
昭和59年 竹本幸之祐「てんびんの詩」を発表研修教材として人気を集める
昭和60年 邦光史郎氏(『近江商人』著)が稲葉稔知事に「近江商人の顕彰」を提言
昭和63年 「てんびんの詩」が映画化
小倉榮一郎著「近江商人の経営」が大ヒット、近江八幡西川利右衛門家が一般公開
平成元年 滋賀県であきんどフォーラムの取り組み始まり、実行委員会、企画運営委員会が設置(後にAKINDO委員会、AKINDO会議となる)
平成2年 AKINDOフォーラムプレイベント全国各地で開催
平成3年 AKINDOフォーラムの宣伝を兼ねたミュージカル「ポタージュナイト」を滋賀県が全国に先駆けて制作し、県下および東京で公演
国際AKINDOフォーラム開催(8月2,3日)
世界都市経営会議、世界企業家会議、懸賞論文募集などの事業を展開
国際AKINDOフォーラムで「三方よし」が注目される。
フォーラム記念品として発売された「近江商人の理念ー近江商人家訓撰集」(小倉榮一郎著)の冒頭に「『売り手によし 買い手によし』は常套で『世間によし』が近江商人の特色」と記される
平成4年 フォーラムを継続的な事業展開する目的で滋賀県AKINDO委員会が設立
委員会下部組織としてのAKINDO会議の設置
AKINDDOセミナーおよび講演会の開催、平成12年度まで継続開催
AKINDO事業長期構想検討委員会設置
平成5年 新近江商人塾が開講。
※平成11年度まで継続開催
ふるさと探訪ウォーク事業がはじまる。※AKINDOカレンダーの作成配布
モラロジー研究所が研究テキストとして「三方よしの経営」を発行。成熟社会の企業マネジメントとして理念の柱とする
平成6年 中学生対象とした近江商人ビデオの作成配布 近江商人屋敷の修復公開(旧五個荘町)
公開記念に外村繁「筏シリーズ」復刊
平成7年 情報誌「三方よし」(※)を創刊。

近江商人ふるさとマップの作成配布

旧五個荘町「てんびんの里学習センター」内に「近江商人博物館」を開設
平成8年 女性起業家セミナーの開催 平成11年度まで継続
近江商人研究ネットワークの設立(座長末永國紀氏)
平成9年 近江商人関連施設スタンプラリー実施、平成11年まで継続開催 「三方よし」の原典といわれる中村治兵衛書置が見つかる
滋賀県「近江商人の商法と理念」まとめる
平成10年 近江商人出前講座(※)がはじまる
平成11年 長浜出身の大村彦太郎が創業した白木屋336年の歴史が終焉
平成12年 「変革の時代にAKINDOの知恵を生かす」をテーマに全国AKINDOフォーラム2000近江八幡市で開催
平成13年 国際AKINDO会議2001開催
「時代を変革するAKINDO多次元的な企業価値を求めて 基調講演 中村邦夫・リチャード・エバンス
ビューティフル・ビジネスプラン・コンペディション2001
会津・岩手研修ツアー実施
滋賀県AKINDO委員会解散の方向へ検討委員会設置
国際AKINDO会議でリチャードエバンス(社会倫理説明責任研究所所長)の「社会説明責任と三方よし」が話題に
滋賀県中小企業家同友会、企業理念普及事業が活発化
平成14年 AKINDO講演会 「転換期における企業経営」講師 丹羽宇一郎氏
ビューティフル・ビジネスプラン・コンペディション2002開催。高校・大学生を対象に近江商人の経営理念を生かしたビジネスプランコンペ
AKINDO委員会解散、滋賀県産業支援プラザと三方よし研究所が事業継承
NPO法人三方よし研究所設立
三方よし経営理念講座始まる
滋賀県経済同友会が「滋賀CSRモデル」を発表
第1回の渋沢栄一賞を近江八幡市「日吉」代表取締役鈴木稔彦氏が受賞
平成15年 AKINDO事業を統括した『現代に生きる三方よし』発行(非売品) 企業の社会的責任(CSR)の波及により近江商人の経営理念への評価が高まる
平成16年 「三方よし」から始まる健康づくりシンポジュウム開催
この頃から「三方よし」の使用が氾濫状態に
平成17年 「なるほど三方よし講座」開始、現在に至る 食品表示偽装など企業の倫理観欠落の問題が多発、企業の社会的倫理観が浮上
平成18年 嘉田知事「子育て三方よし」事業発表
平成19年 第5回渋沢栄一賞を山本徳次氏が受賞
平成20年 三方よし研究所会員(滋賀県立大学准教授)高橋卓也氏がカタール国で開催された「企業の責任国際学会」で三方よしをテーマに講演 世界不況の到来
平成21年 (財)滋賀県産業支援プラザのホームページからAKINDO委員会の活動記録を引き継ぐ。
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